先週に引き続き今週もまた三浦半島にやってまいりました。今週は探鳥かたがた、森の源流から湿地帯、干潟そして海へと、自然環境が連続して残されている希少で貴重な『小網代の森』を訪れました。
小網代の森へは、京急「三崎口」からバスや徒歩などで引橋まで行って、山の上から森に入って行くのが一般的でしょうか。
小網代の森に駐車場はありませんので、クルマの場合は近隣のリビエラ・シーボニア・マリーナの駐車場に停めるか、油壷マリンパーク近辺の三浦市油壺駐車場もしくは油壷I.Sパーキングに停めると良いでしょう。シーボニアが最も近いですが駐車料金お高め、市の駐車場は520円/日でI.Sパーキングは500円/日です。我々は油壷I.Sパーキングに駐車しましたが、市の駐車場には清潔なトイレがあるのでそちらの方がオススメ。
Googleマップを頼りに高台から小網代湾へと坂を下っていきますと、シーボニアマリーナに出ました。そこから小網代漁港沿いに白髭神社を目指します。漁港付近には仕立て船の屋号が並んでいます。
油壷の駐車場から20分ほどで白髭神社に到着。しっかりとお参りしてから小網代の森へと向かいます。
左が白髭神社、右が小網代の森
お参りした後、小網代の森への入り口が分からなくてビビりましたが、白髭神社から少し戻った三叉路の右手の道が小網代の森へと続いています。
森に囲まれた遊歩道を20分ほど歩くと突如として視界が開けます。静かな湾と干潟、そして湿地を予感させる葦原が広がっていました。
まるで戦場ヶ原や尾瀬のような、豊かで圧倒的で原生的な自然がそこにありました。神奈川県にもこんな素晴らしい所があるんですね、誇らしい。そして自然の機能を損なわないように配慮しつつ、小網代の自然を格段に観察しやすいように整備された、木製の遊歩道の素晴らしさよ。その苦労たるや想像を絶しますが、心から感謝。
トビ
ルリシジミ
ホオジロ
ホオジロ
フタバカクガニ
モンキチョウ
カワトンボ
イトトンボ
野鳥の声や気配は濃厚ですが、森は深く枝葉も生い茂っていますので、探鳥の成果としてはいまひとつ。ただ小網代の森を散策していると、森に降った雨水が濾過され清らかに湧き出すように、気持ちがリフレッシュされていきます。鳥の声を聴くだけで充分に楽しめました。
道々、ルリシジミの群れが地面にとまって給水行動をしていました。ごめんねと言いながら傍らを通り過ぎると、淡い青紫のチョウ達が足の周りを飛び回り、美しいやら愛らしいやら。
ああ、そりゃ居るだろうね、ここには。ただコロナ禍ということもあり、ホタル観察会は中止だそうです。例年恒例なんでしょうね。これからまさにホタルの時期ですが仕方ないですね。この環境を守ることが出来れば、また来年も再来年もホタルはその姿を見せてくれるでしょう。
まんなか湿地で折り返してきて、小網代湾の干潟に足を踏み入れてみました。
干潟には無数の小さな穴が開いていました。しばらく岩場で静かに待っていると...
チゴガニ
小さい小さいカニが穴から出てきて、採餌を始めるじゃありませんか。小さくて本当に可愛いカニです。ぴゅんぴゅんと突き出た目がこれまた可愛い。飽きずに見入ってしまいました。
小網代の森を1時間半ほど散策してから、白髭神社近辺まで戻ってきました。道沿いの岩場に視線をやると...
ん?
ん?
アカテガニ
アカテガニ
小網代の森名物のアカテガニが、姿を現してくれました。アカテガニは鰓呼吸した水を口から吐き出し、腹部の脇を伝わせて脚のつけ根から再び体内に取り入れる半永久機関を持つことで、水場から離れた陸地でも生きていけるとのこと。
成長過程(ゾエア~メガロパ)で一時的に海中で暮らす必要があるため、繁殖(生息)には森・川・海が必要。それらすべてを兼ね備える小網代の森だからこそ見られるカニなのです。
小網代の森は1980年代、大規模なリゾート開発が計画され、京浜急行もこの小網代の森を通して三崎口から油壷まで延伸させる動きがあったようです。地元住民もそれを望んだと。紆余曲折、船橋の三番瀬と同様、すんでのところで保全がなされた経緯があります。
城ヶ島京急ホテルのクローズや油壷マリンパーク閉園など、京急が中心となって三浦半島を都市近郊リゾート地へと変貌させる開発計画が再び加速しています。江奈湾干潟や小網代の森といった三浦半島に残された貴重な自然を残しつつ、開発を進めてもらいたいものです。
~ 観察記録 ~
トビ、ハクセキレイ、シジュウカラ、ツバメ、ウグイス、カワラヒワ、スズメ、アオサギ、ハシボソガラス、カワウ、メジロ、イソシギ、コゲラ、ヒバリ、コジュケイ、ホオジロ、ガビチョウ
タイワンリス、ホソウミニナ、モンキチョウ、ルリシジミ、イトトンボ、カワトンボ、アカテガニ、チゴガニ、フタバカクガニ
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