不思議なマガモ
5/9の投稿でも紹介したマガモは、そろそろ仲間たちが北の方へと移動を始める3月の中頃から、地元の川でよく見かけるようになりました。
パートナーがいるわけでも仲間がいるわけでもなく単独。たまに種の異なるカルガモと行動を共にしていたりと、何となく哀感漂う感じで川を通るたびにその姿を探してみたりしていました。
5月に入り暦の上ではもう夏という時期に、彼の姿をまた川で見かけました。仲間たちはとっくに北上してもうこの周辺にほとんどいなくなっているのに、相変わらずカルガモにくっついて行動をしていました。その時は暢気な子だなぁと思っていただけでしたが...
不思議なマガモ
--- くちばしの違和感 ---
数日後にまた見かけた時に撮影。PCに取り込んで画像を確認している時に「アレ?」と違和感を覚えました。通常のマガモのオスはくちばしが黄色くて、黒味を帯びることはないはずなのですが、彼のくちばしには黒い部分があります。
マガモ
通常のマガモのオスはこのようにくちばし上部は黄色です。一方のメスはくちばしの上部が黒くて周辺が橙色。
マガモ
忍野八海で見かけたマガモ(交雑種かも知れませんが)。くちばしの色で判断すると手前がメスで奥が繁殖羽から換羽したオスではないでしょうか。
繁殖期が終わり、換羽のタイミングでくちばしに黒味を帯びるというわけではなさそうです。ということは彼はちょっと個性的な特異体とか亜種ということなのか?
不思議なマガモ
--- 雨覆の違和感 ---
くちばしだけでなく、背中にたたまれている雨覆羽の感じも少し違和感があります。
マガモ
通常のマガモが羽根をたたんだ状態はこんな感じにしゅっとしています。近所の川にいる彼の背中は少し余計な模様があるように見えます。
以上3点がこのマガモちゃんに私が覚えた違和感です。マガモとしての特徴を色濃く残しつつも、どこか違和感のある姿。カルガモとの交雑種なんじゃないかとも思いましたが、これ以上、入門者の私にこの不思議なマガモの生い立ちを詮索する知識もありません。
そこで困った時のGoogleさん。くちばしに黒い斑があるオスのマガモ情報を検索してみましたところ、日本の野鳥識別図鑑というサイトの鳥の名前質問コーナーの中に、似たようなマガモの識別を依頼するモノ(参考リンク:マガモの雄化個体?)がありました。そこに寄せられた鳥のエキスパートのコメントを見ると...
・マガモとカルガモなどの交雑種マルガモ・家禽化したマガモ系統の個体・オス化したメス
考え得ることとして以上のことが列挙されていました。オス化したメス!ってのはすごい、そんなこともあるのか。いやぁしかし、こうしたことをすらすらと教示できる鳥のエキスパート達の観察眼と知識に感嘆しました。思い切ってzukanのアカウントを取得し、私も日本の野鳥識別図鑑へ質問を寄せてみました。するとありがたいことに、すぐにエキスパートの方からコメントをいただけました。
不思議なマガモとカルガモ
『一緒に写るカルガモより体が大きく、尻も大きく体型も丸々太って見えます。その大きさと体型から、アオクビアヒルやアイガモなどの家禽系の可能性があると思います。(通常のマガモでしょうか? | 日本の野鳥識別図鑑)』
マガモ
確かに通常のマガモよりもお尻にもっこりと肉が付いていて、全体にまるっとしています。エキスパートの推察通り、この不思議なマガモは家禽系が再野生化した個体なのだと思います。疑問がすぐに解明されるなんて、ありがたい。ご教示いただいた方に感謝。
カルガモ
ただ不思議なマガモのくちばしに帯びた黒味だけが疑問として残ります。きっと野生のマガモが不思議なマガモに至る系譜の途中に、人の手による家禽化に加えてカルガモなどとの交雑があったんでしょう。カモの交雑なんて珍しいものでも無いそうですから。
入門者の知識欲をすっかり満たしてくれた不思議なマガモ、ひとりぼっちの姿も多いけど今後も健やかにこの町で暮らしてください。
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